青木篤志、いいじゃないか

久しぶりにG+でNOAHを観た。ジュニアのリーグ戦〜トーナメントをやっていて、途中でKENTAが怪我をした試合が放映されるようなので観ておこうと、家族の顰蹙もかいながらテレビの前に座っていた。
印象に残ったのは、むしろ、金丸とやっていた青木である。デビューはたしか、小橋と秋山のドームだったかなと思うが、凄味のある選手になっていた。
ボクは基本的にサブミッション好きである。たぶん、自分自身がそれほど体力には恵まれていないせいだろうと思うが、局面を一気に変えてしまうサブミッションはプロレスの中では絶対的な決め技だと思っていて、その意味では、本田多聞の回転地獄五輪ほど恐ろしい技はないと信じている。ただ、サブミッションというのは体格の差が絶対的なアドバンテージとして横たわっている部分でもあり、青木のような体格の人が、それこそ本田に腕ひしぎで決め落とすのは容易ではない。それだけに、そういう可能性を見て取れる選手は、また、好ましくもある。
オコジョという小さなイタチのような生き物が高山には住んでいて、それこそイタチのフィギュアみたいな大きさなのだが、これが案外凶暴。ウサギの頸動脈にピンポイントで齧り付き、食い千切るというのだ。本当だろうかと疑っていたが、立山の天狗原で石の上を動き回る速度を見て得心した。異次元の速さである。分身の術が使えそうなのだ。ウサギごときの身のこなしでは、脱兎のレベルでもついて行けまい。
青木にはそうした可能性を感じる。しかし、残念ながら、まだまだ経験に不足しているようで、獣神サンダーライガーが見せる勝負ところでのきりきり食い込むような展開が、まだ、できない。いずれ、その後の試合で、やはりといえるほどの展開を見せながらここぞというところでレフェリーストップで終わってしまったKENTAや鼓太郎のリズムを切り取ってしまう選手になってくるのではないかと思わせた。彼が動く空気に全く華やかさがなく、技一つ一つに会場が沈黙していくのが、ボクにはむしろよい傾向と思わせた。
後に、三沢後として評価される季節に、出てくるべきものが何なのか。見極める必要がありそうだ。その三沢は、馬場以後、鶴田以後の星であった。運命の流れはどこに向かうのだろう。今が、実は一番目の離せない時期なのかも知れない。プロレスはカードを惜しめない。