平成6年の黒部川

面白い話を聞いた。
平成6年は渇水の年。黒部川下流では、流量が0になった。とはいえ、伏流している水は豊富で、途中で表面を流れなくなった水がさらに下流吹き出し、その水に多くのアユが反応し、扇状地のフィルターで濾過されたミネラルたっぷりの水はアユを丸々太らせ、挙げ句、サクラマスの産卵を促した。
翌、平成7年は春から驚くほどのアユの遡上が確認される。サクラマスも異様に濃く、昭和44年の水害のダメージをようやく回復したかに思えたのだった。*1
ところが、7月、平7豪雨と称される大出水でそれは台無しになる。いや、正確に言えば、直前の排砂で川は再び得体の知れないダメージを負ってしまった。
以後、川はデリケートになってしまった。洪水もなく、ただ流れるだけの川に、最早自浄作用は乏しい。
ところが、いくつかの努力ときっかけで、実はサクラマスの資源量が増加している。おそらく、遠からぬ将来に黒部川サクラマス漁が十分に成立するところにやってきたという。
仕事が立て込んで川から遠ざかっているうちに、川はしたたかにしぶとく生まれ変わろうとしている、いや、そんな言い方は適切ではないな、あるべきところにいつだって戻ろうとしているのだ。
来週、宇奈月温泉で一泊。モーニングでもやってみるか。

*1:ボクにもそれは実感できた。川は死なないのだと思えた。この数年前に夥しいモンカゲロウのハッチを目撃している。