卒業式

三男の卒業式。7年間お世話になった高校への感謝の気持ちと、もうひとつは自分自身の卒業式を経験していないこともあって、最後のチャンスと出席した。
自分が卒業するときは、ちょうど受験が重なって卒業式に出られなかった。そのことをことさらに悔しいとか、残念だとか思ったこともなかったのだが、いざ、息子たち三人が同じように同じ高校を卒業することになって急に愛おしくなった。
式では校長が、夏の大会の話を話題にした。驚くべき逆転劇で、この高校の野球部の歴史でもほとんど経験のない勝利だった。大勝ちでも、大逆転でもなく、みんながあきらめないでひとつひとつを大切に戦った末の勝利だった。また、「熱と意気と力」にもふれた。バックネットに張ってある校是とも言うべきことばである。ボクらの頃にはそれほど意識はしていなかったのだが、今は知らない在校生はない。
看板が古くなったので野球部保護者会で塗り直したのが3年ほど前。ボクら保護者会のメンバー手弁当で直した。それが学校のシンボルというのは何とも感慨深い。
校歌になった。思い切り歌うぞと思ったが声にならなかった。目の前に、息子たちがお世話になった野球部の前監督がいる。いろいろなものが去来して、もう声が詰まった。憚らずに泣きたいとさえ思った。
30年間遅れて、ボクの卒業式がやってきたように思った。
30年はあっという間だった。
息子たちや多くの先輩方と同じ歌を共有できることはこんなにもせつなく、うれしく、有り難いことか。感謝。