一球で

一球で局面が変わるとは、まさしく野球の面白さ。
ファルケンボーグのワイルドピッチひとつで流れが完全に裏返った。それが三下の選手ならともかく勝利の継投に絡んでいた選手に出てくるともう止められない。一昨日の藤川でもそうだった。ランナーはいなかったが、捕手を飛び越す投球が藤川の、城島の苛立ちを示していた。亀井に投じた大ファールの後の一球で勝敗が天秤に乗った瞬間だ。
少年野球をやっている子どもの母親たちと話す機会があって、時々彼女らの言い方に野球をやっているのか、成績争いでも、いや、表現が違うな、何を目指してやっているのかわからなくなることがある。
例えば、今の時期は新人の選手が出てくるので外野に打てば落とす。高いバウンドでたたき付ければとにかく間に合う。あのチームには必ず勝てる。
いずれも勝敗にはつながるが、野球としてその先のおもしろさ、一球のおもしろさや局面を作ることの緊張感につながるものじゃあない。子どもがそんなところを目指し始めては親の名折れだろう。
外野に打てば落とすから2塁打になる。いや、外野のエラーだろう。そんなものを期待するゲームは野球としてつまらない。そう教えなくては。
もっとも、子どもたちは日ごろ野球の練習に忙しくて、プロ野球を見る暇もないそうだ。みんなで日本シリーズを見ながらいろいろ話すといいのにね。野球観戦に来ている子どもたちも、手に飲み物とグローブをもってスタンドを飛び回っている。スタジアムの楽しみではあるが、凝縮していくゲームの面白さをもっと味わって欲しい。
それにしても、ソフトバンクの応援。うるさすぎないか。ブブゼラ並みである。声も高い。メジャーのポストシーズンの高まる雰囲気も捨てがたい。とはいうものの、アウェーだとヒットが出ても、勝ってもほとんど反応らしい反応がないのは、日本も地域性が明確になってきた現れでおもしろい。ヤフーBBも甲子園もゲームが終わったこともわからないくらいだった。