そば処泉屋

おだじまが閉まっていたら、そのまま泉屋に行こうと思っていた。
糸魚川の雁木の通りにある泉屋は、隣が加賀の井、反対側が滝之湯という銭湯という、これはもう他にない組み合わせの場所にある。ボクの祖父も好きだったし、父は、東京出張の際にわざわざ糸魚川で乗り換え、ここで天そばを食べてからはくたかに乗った。
この頃、泉屋さんはとてもがんばっていて、蕎麦屋としての正統を貫いている。種物もいいし、手打ちも選べる。さらに、抜きがちゃんとメニューに書かれていて、さらに、追加も可能。食べてから半盛りの冷たいのを追加できる。大盛りを一気に食べている間にのびてしまうっていう具合を考えると、これは非常に味わい深い。
ボクは、父の好きだった天そば。大きなエビが2本、別皿でやってくる。抜きでなくても、ちょっとそば前のお酒をエビで楽しんで、あとからそばということが可能だと見た。
次男は、鴨南蛮。これもうまそうだった。
糸魚川の町屋の姿を残したお店の佇まいも、ボクにはお気に入りで、それはボクが生まれ育った家と造作の考え方が近いからだ。
歩いて行ける場所にあるといいなあ。草の子のようにそばそのもののうまさを味わうのも蕎麦屋なら、こういうのも蕎麦屋。風呂上がりに蕎麦屋で一杯ひっかけてきました、なんてのは相当に贅沢だ。
ジオパーク指定以来、糸魚川が急速に盛り上がっている。うらやましいなあ。