シャルマン火打

3日だったかな、シャルマンに行ってみるとずいぶんたくさんの雪。営業は5日終了の予定が8日まで延長とのこと。8日は、雨の予報なので、それじゃあと今日行ってきた。
今シーズンは、スキー100年ということもあって原点帰りも考えて、アルペンスキーの機会が多かった。15年ぶりのアルペンスキーだったが、ようやく最近のスキー板の使い方がわかってきて、3月下旬にはなかなか調子の良いことになっていた。上達する楽しさみたいなものをまた久しぶりに感じていた。
一方、クロカンもテレマークもあまり機会がなく、特にオフピステはほとんど滑り込んでいない。
アルペンスキーで判明したが、やっぱりアルペンスキーでパウダーは滑れなかった。体の使い方が悪いのか、テレマークでパウダーは上手になったが、なかなかそちらの方は調子の良いわけにはいかなかった。両刀使いのつもりはないがどんなにアルペンがこなれてもそれはそれ。テレマークの魅力を損ねるものではないし、いつだってそこに戻るものだと思う。
自分が最初に始めたスキーはアルペンスキーだったが、さらに原点を辿ると祖父のスキーに届く。祖父は、当時の人々がそうであったように、レルヒがスキー技術を指導して数年後にはスキーをしていた人だったので、もちろん、テレマークで滑っていた。原点というより、そっちは源流だな。そこをいつも意識していないと、ボクのスキーのアイデンティティが崩れてしまうような不安がある。
シャルマンまでは約1時間。春は道もよく速い。同行がいないので、車も思い切り振り回すとこんなものだ。白馬より20分ほど短い感じだ。実は、47にするか迷った。あっちも延長営業で、アルプス平の調子良さは捨てがたい。しかし、今年まだ訪ねていない場所を選んだことと、父が最後に滑った斜面を見ておきたいなという思いも同時にあったのだ。
気温が高い。24度に達している。上着もなく、手袋も軍手のようなものを使って、ゴーグルは汗でかけていられない。普通の眼鏡で滑ることにする。
滑り出しはもうもたもた。悪雪でバランスが取りにくいこともあって、とにかくテレマークポジションを維持できない。太ももはぱんぱんで、立っているだけで辛い。
テレマークの極意は脱力である。足を揃えるという姿勢よりも、足を踏み出した方が自然の理にかなっているのに、その姿勢が辛いのは、間違いなくどこかに余計な力を込めて、その力故に何かと戦うように無駄なこわばりを生んでいるのだ。ところが、スキーを履くということ自体が日常から離れているために、バランスの中心を見つけにくい。今年は滑り込み自体が少ないので、重心をつかみ切れていないのに、シャルマンの激しい斜面で心が引いているために、ポジションが前がかっている。そのため、引き戻そうとして腿の前がきつくなっている。
そんなことがわかりきっているのにできない。そのうえ、斜面の幅が少し狭く、K2ワークスティンクスのラディウスの関係や、160センチメートルというテレマークとしてはかなり短い板の長さもあいまって、そのうえ、至る所にこぶ上の突起が出ていて、滑りは難儀を極めていた。この板は縦に落としていくときに力を出す板で、カービングのシェイプは少なく、キャンバーも小さい。その板の特性を引き出すような挙動ができないのだ。
2本ほど滑って休憩。気温に合わせて服装を調整。さらに1本で昼飯。駐車場で日だまりに揺れながらおにぎりを食べる。横にいたボードの女性たちが「春のボードはあったかくていいよね」とつぶやく。新緑が目映い。いい季節だ。
午後からは、麦わら帽子のテレマーカーが出現していた。上手だな。K2のロッカースキーを履いている。ああいうのがいいのかな。しかし、そもそも技術的な問題が多いので、丁寧に丁寧にターン練習を繰り返す。
実は来月の初めに月山に行く予定で、そこには是非テレマークでと思っていて、そこそこ練習しておかないとどうにもならない。板をどうしようと思っていたが、ざくざくの雪になっていたときに、セミファットの走破性は捨てがたい。ワークスティンクスで行こうと決め、その足馴らしも考えていたが、事態はもっと深刻。いろんなものがリセットされている。
足がきつくてリフトを降りると不安が先走る。速度について行けるような感じがなく、斜面変化で急にバランスが崩れるとあっという間に疲労してしまうのだ。やっぱりもう少し長い板がいいのかな。でもそうなると重くなってしまうし、いざかつぐとなるとこの辺が妥当だろう。もともとそういう気持ちで手に入れたものだ。ほぼ同じ長さのドーンパトロールを持っているが、そっちでもいいのかな。ビンディングが付いていないので、履き比べようもないのだが。何本か持ってくれば良かったな。
7本目が3時少し前。依然として調子は出ないものの、ポジションを掴みつつある。父が最後に滑走した斜面で、脱力脱力とつぶやきながら滑り降りる。ああ、こういう感じだよ。そうそう。こういう風に乗るんだ。父に教えてもらったような気がした。
不十分な感じは残っているけれど、これで終了。
センターハウスで張り紙を見ていると、このスキー場のレンタルがおもしろそうだとわかった。最新のファットやらロッカーやらいろんな板を貸し出し、しかも、1000円でスタンプ1個もらえ、24個になったら板が1本もらえる。24000円で1年落ちのエキスパートな板がもらえるわけだ。レンタル時間内は交換も可能。1日4500円だが、2時間2千円というのもある。今日も、そういうのを試してみればよかったかもな。
新しくできた蕎麦屋のチラシも発見。柵口温泉の民宿なら入浴は300円というのも発見。
また、来年。
深く山に頭を垂れて辞する。