閉校式

かつて勤務した学校の閉校式。
近代詩文を普及させたことで知られる文化功労者の書家・大平山濤(おおひら・さんとう)氏がこの学校に勤務したことからご挨拶に立たれた。自分の中に立山や南保富士が聳えているのだ、だから、山の詩が多いのだと陛下に話された経験など、土地とその土地に生まれ育ち、育まれることの大切さを改めて示してもらったように思う。その人の「基底」である。
「風の階段」「南保の森」とボクが名付けたものがでてくるたびに面はゆい。しかし、もともとそうした名前をもっていたのをボクが表現しただけのことだろうと思っている。児童玄関に飾られた学校図は、何とボクが手書きしたものがそのまま使われていて、その文字に今度は恥ずかしい思いにとらわれた。
なくなることの寂しさはある。しかし、ここまで培ったものに誇りを持つべきだと大平氏は言われたようにも思う。そこには感傷もくそもなく、矜持が見え隠れしていた。