上路山村振興センター

行ってきた。上路の蕎麦屋、いや、そば屋。蕎麦ではなかった(笑)
前にここに書いたことにも少し間違いもあったので、改めて。
まず、店の名前は、「上路山村振興センター」。そば屋としてはなかなかアバンギャルド。2階に、雪崩資料館を併設したよってきなえやでさえ、何かそれらしい名前だったが、ここはサブネームもない。
場所は、かつて日本で最も小さい村だった新潟県最西端の現在は糸魚川市上路。近くには、白鳥山への登山道などもある。新潟県だが、普通の経路で行くと一旦富山県側に県境の川を渡り、そこから川を遡り、もう一度川を渡り返して山に向かう。中世までは海沿いのルートよりもメインで伝統的だった街道である。
センターは如何にも補助金施設。入り口でご近所の方が作っている手作り木工品が売られている。こういうのもよく見かける。
先週オープンしたこともあってけっこうな賑わい。椅子席は全部埋まっていたが、相席をお願いした。
メニューは2つ。
そば600円とそばづくし900円。いずれもざるそばである。そばづくしについては少々看板に偽りがあって、そばに、つぼ汁という土地に伝わる汁物が付く。これをそばの水団と想像していたが、ただの里芋とわらびの澄まし汁。ことによると、里芋とそばを混ぜた団子と思ったが、それも違っていた。漬け物は、野沢菜と沢庵。
そばは全くの田舎打ちで風味はいい。しかし、どうも切りが雑で、かの美郷よりも適当に切られている。店内の様子を見ると村の人が交替で店の世話をしているらしく、そばもそんなものだろう。地元の小学生がエプロン姿でお手伝いをしているのはほほえましいし、ご近所のおばちゃんたちががんばっている姿も悪くない。
タレは異様に甘い。大根も甘い。テーブルに盛られたねぎまで甘く思えてきた。甘いタレに短く太いそばを付けるもので、店ごと味わう思いがなければけっこう喉通りが悪い。そば湯もいただいたが、タレが甘すぎるので伸ばすといよいよ甘い。味の素の香りだったかもしれない。
総合的には、そば好きを堪能させる店ではない。山里を味わって、そして、人を味わうようなお店である。これからの変化が少し楽しみでもある。
興味は、そば打ちとそばの仕様そのものが土地に伝わっていたものか、見よう見まねでどこかから移入されたものかどうか。もし、土地のものなら何も変える必要はない。だが、今回移入したものならその精度を高める必要はあろう。