健介の涙

波瀾万丈とかいう番組に、健介と北斗晶が揃って出ていた。健介の笑顔が優しくかわいらしく、彼というレスラーの姿がむしろよく見えた。
健介の育ての親との関係は実につらい体験だったようだ。結局、父親を見殺しにしたような気になったのだろう。その父について、人付き合いに不器用で、と語る健介はまるで自分のことを語っているようにも思えた。
小橋との東京ドーム。健介はやはり同様に愚直で不器用なプロレスを着実に進化させてきた小橋と、あまりにもプロレス的な試合をした。敗れてマイクを取った健介が叫んだ「ありがとう」にはこうした意味も含まれていたかと、そのことばと、見守っていた北斗の姿を重ねて、泣けてきた。波瀾万丈みたいな番組で泣くのは最も恥ずかしいことと自認してきたが、どうもいけなかった。
そう言えば、小橋の笑顔も優しい。