黒田寛一

「くろかん」などと呼ばれていたもので、てっきり「くろだ・かんいち」だと思っていたら「くろだ・ひろかず」だそうだ。人前に姿を現さず、その著書や切れ切れに伝えられることばだけでその意志や思想を探らざるを得ないあたりは、カリスマ中のカリスマ。
金沢大学はこの一派の関係者が少なからずいるらしく、大学の生協に著書が並んでいた。わざわざ買いに行ったわけだが、買うと反対派からつけられるという噂があって、生協のよく目立つ書棚はいわば「わな」であるとも言われていた。まだ、ときどき、内ゲバの記事が新聞の片隅に掲載される頃であった。
右も、左も、極も、人材を失う。そんななかで生まれたトリックスターが喜劇役者のような小泉だったかと、こうした訃報に接して気付かされた。次は、あの垂れ目か。敵失をねらうような戦術では政治にならない。サッカーでさえやらないことだ。