デジカメ

ヤマダ電機で、バッケンくんに遭った。先日、一眼デジカメを買いたいと言っていたのだが、買ったらしい。じゃ、何でヤマダ電機に来たのかというと、まだ、納品にならないので触りにきたのだという。喩えはとても不適切だが、身請けした女がいるんだけど、まだ、期限がこないのでそれまでせっせと通っている漢のようでもある。ちょっと違うか。
バッケンくんは、山に登りたいんだそうな。達成感を味わいたくて山に登るなんて恐ろしく単純で短絡でわかりやすく、ひねりも何もない青さに満ちているが、それもいいだろう。朝日岳を紹介しておいた。山で人の姿を見てくるがいいなどと格好付けて話しておいた。人は何に魅せられるのか、何に惹かれるのか、その形をいくつか見せてもらえるかもしれないと、そんなことを思った。
ふと、ボクが彼くらいの頃を思った。見えている水平線の向こうに行ってみたいと思った。その向こうにも水平線はあるんだろうが、世の中に到達しきれる極地なんかありっこないのを自分の目で見てくるのもいいじゃないかと思ったのだ。そして、それはその通りだし、ボクは限界のある世界に生きていてもここに連なるすべての事象を信じられる現実を生み出す想像力を手に入れた。
ピークなんてどこにもないし、乗り越えるものなど無限にある。その世界を確かに感じられるかどうかなのだ。故に、釣れない釣り、うまくならないままならぬスキーを、頂点を目指さない歩きを、いつまでもだらだらと垂れ流し表現していく文章などを書いている。