一番嫌いな球団

日本ハムの希望枠選手が「一番嫌いな球団」として巨人以外には行かない意志を示し、挙げ句、日本ハムの関係者に会おうともしないそうだ。ドラフト直後にはそうした反応があって、八重山の大嶺のように態度を軟化させ、むしろ、前向きに入団に翻ることも少なくないし、多くはそのようになっている。期待から外れたことでメディアの向こうにいる人々をあまり意識できなくて率直に過ぎる発言をしてしまうのは、18才の若者にありがちなことで、それはそれで理解できる。
しかし、不思議なのは、昨年巨人に指名されて、下位指名でやっていく自信がないとか何とかいって入団拒否した子だ。高校生の場合、プロ志望届けを出すのだが、何を志望していたのかわからないうえに、ドラフトの指名順位をランキングみたいに思ってそこで価値を裁量しているようでもあり、彼らにとってプロ球団とは何なのかを疑った。しかし、それも以前の中学生なみになった高校生と思えばわからぬわけでもない。
しかし、今回の長野は大学生だろう。彼はプロ球団に所属することと、プロ野球選手になることをどのように思っているのだろうか。かつて原が指名対象となったドラフトで国会で人権問題として話題に上ったことさえあったが、彼らは日本プロ野球機構に属することを希望しているのであって、その力もあるのに理不尽な理由でプレイできないのなら人権上の配慮もしかるべきだが、あんなに力がある人が行きたい球団に行けないのはおかしいという理屈そのものが変なので、希望通りの球団に入れる入れないについて奇妙な制度を取り入れた方が、いくつもも軋みを生じている。今回は、アジア一になった球団が「嫌い」という幼稚園児みたいな理由で足蹴にされたわけだ。これでも球団は粘り強く交渉していくわけだが、今度は大枚積まれて目がくらみ入団しても、その我が儘な思いを吐露してしまった以上、いよいよ後戻りできない厳しい目が待ち受けている。もっとも、幼稚園児なら、あんまり気にしないで仲良くするか。
ボビー・バレンタインが希望枠がおかしいというのはよくわかる。裏金の噂も消えないのだから、完全ウェーバーの議論を再燃させるべきではないのか。FAの期限を短くすればいいじゃないか。実際、FA自体も両刃の剣で、今のところ、力相応で評価されるような情況がある。もっとも、それにしたところで、代理人が介入すればまたずいぶん変わるのだろうが。
プレー以外の話題が多い野球の環境は十分に恵まれているとは言えない。プレーでなく数字、数字ですらなく名前。それが現状。