某I氏

某有名フライフィッシャーのI氏がある雑誌にフライフィッシングの教え方について語ったものが収録されていた。
この人は釣りをすべきではないと思う。
数千匹釣ったから飽きた、どこでどう釣れるかがわかるので、もう課題はない、といったことは、それは千人斬りを目指す男のようでもある。それは基本、不感症である。
ヒットを積み上げるイチローが「1本のヒットがどんなにうれしいかわかりますか」と言ったことがある。
I氏は今や海にも進出していて、またまた釣りまくっている。ボクらは魚を獲るためにロッドを振っているのではない。川で釣りをしたいのだし、海で釣りをしたいのだ。引きがいいとか、そんなまるでマスオさんが絵の展覧会で必ず口にする「タッチがいい」によく似て、陳腐も陳腐。それが、最も釣るフライフィッシャーの言葉かとさえ思う。
この人のような釣りだけはやるまい。少々、尊敬していた時期もあっただけに、その分自己嫌悪も生じている。