翁@立山町

いつもスーパー農道を通りながら気になっていた翁という店に行った。
近くの立山町総合運動公園で野球の練習試合があったのだ。民家を改造したようなお店はすぐに見つかった。日曜日のお昼ということで少し心配したが、15分ほど待って店に呼び込まれた。
このあたりは最近、上市町の佐伯といい、岩峅寺のむか井といい、よいそばを食べさせるお店が増えており、大変ありがたい。いずれも、手打ちで、それぞれの趣向がある。
翁、というから例の翁かと思ったのだが、表札には翁が名字になっている。ことによると、その「翁」ということか。でも、これは勘違いするよな。勘違いするけど、それはそういうものだから仕方がない。
お品書きは、もりをベースに、おろし、天そば、つけとろ、かもざるなどである。天ざるで1200円なのでリーズナブルだなと思っていたら、7月から1500円だとアナウンスがあった。それでも、見る限りはそれなりに相応だろうと思った。
彼女がもりにするので、ボクはおろしにした。もりは案に相違して、笊で出てきた。草の子と同じように、竹笊である。おろしはぶっかけを予想していたが、つけおろしである。ちゃんと聞けばよかった。いつも、越前風のおろしを思っていて裏切られる。
だが、しかし、そばは丁寧な中細打ち。しっかりと打ち込まれた歯触りのあるそば。大根も適当に辛味が利いていて気持ちがよい。ところが、残念なことに、そのそばの地力におそらくよく似合いそうなくらいにはつけダレが強さが足りない。甘く、少々薄い。薄いというのは致命的で何をどうしたって濃くならない。ぶっかけのたれならさぞかしうまかろうと思うのだが、それはそれ。これも好きずきの範疇か。
まわりの人はもう判を押したように天ざる。これはどこでも見られる傾向だ。別にそれが高級品というわけではないのに、その店の一番上等なものを頼もうと高価な品を注文してしまうようだ。
最後にそば湯を味わう。少しそばの切れ端が残っていて、口に残る。それでも、やさしいいいそば粉を使っていることだけはよくわかる。
外にでると口に残ったそばの香と初夏の風と光が爽快。ちょっとそばにはきつい季節になってきたが。