中原中也は冬の下宿の夜中の炬燵

ぼんやりと中原中也を読む時間が10分ほどあった。
拾ったことばから、ははあ、これはあの頃の下宿の空気だなと思った。
かつての宝山荘は北向きの窓がひとつあるだけの6畳間。流し台と、なぜか便所が付いていたが、ここにプレーヤーにカートリッジイコライザーをつないだラジカセ(これがジルバップ@SONY)からトレーンだの、ドルフィーだの流していたが、特に向学心に燃えるわけでもなく、大学の講義がおもしろいわけでもなく、古本を積み上げて、具のないチャーハンを食いつないで毛布にくるまっていた。酒とても日本酒をコップで飲むようなやり方で、飯も食わずに米の汁で凌いでいたような感じさえあった。
少し体が暖かくなると、欲情感が出てくる。こんなに栄養が足りないのにと思っていたが、実は、そういう生命の危機ほど欲情は迸るものらしい。悶々とするほどではないが、いろいろなものが艶めかしく見えてくる。
中也はそれをことばにしたんだなと思ったが、読みが浅すぎるのかな。
ダダとか、アヴァン・ギャルドとか、シュールレアレスムとか、好きなことばもたくさんあるなあ。