河童忌

芥川龍之介没後何年とかいう話だった。
本を読むにしても図鑑の類が大好きで、おそらくブンガクなどは縁遠いと思っていたボクが本気で本を、いや、ことばを味わうきっかけになったのは、間違いなく芥川のせいだろう。それまで、物語とは物語の内容、言い方が難しいのだが、話の流れに重点があると思っていて、内容のおもしろさに惹かれている部分が少なからずあった。それゆえ、一度読んでしまうとオチの見えた話で興味がなかったりもしたのだが、小学校4年生くらいのときに、「蜘蛛の糸」を読んだ。夏休みだったと思う。お話はとてもおもしろい。カンタダが無頼なことばを吐くと結局また地獄に落下するのだが、その後天国の住人が何事もなかったように池の周りで佇んでいらっしゃるのが何よりも強烈だった。カンタダのことがまるで思い付きの戯れのように感じられたのだ。
このときから芥川を貪った。話が短いのがまた好ましい。
侏儒の言葉」あたりはずいぶん暗唱できる。
おかげで、ボク自身が用いることばも一筋縄では対応しきれないものを良しとすることとなり、相変わらず突飛でハッタリ臭い言動で他を翻弄しているわけだ。
ところが、この間、前にレギュラーをやっていたコミュニティエフエムに出してもらって生でお話をしたのだが、少しアクが取れたとパーソナリティが話していた。そうかもしれないな。まだまだ、人を刺すことばは使うが、えぐることが少なくなった。からかうが罵倒しない。年齢なのかな。
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