ニレ池で彼女と

どうもこの間一人だけへこんだので、何だかどうにか気運を転換させたいとニレ池へ。今回は、彼女にも釣ってみないかと誘ってみた。
出かける前に、渾身のグリフィスナットを数個巻く。これを使えば、テレビカメラの前で釣れたのに、しかも、ハイビジョン(笑)まあ、どうだっていいんだけど。
お昼少し前に到着。彼女に何か買ってきてもらうことにして3時間券を購入。クラブハウスに、ミミズクがいた。剥製かと思えば、本物で、どうやらマスターが好きらしい。胸毛が大変好ましい。生きるマテリアルである。
水は幸い濁りがない。フライの人は桟橋に2人。ベストも着ず、びゅんびゅん振りまくっている。フライボックスは桟橋の上に置いたまま。まあ、空いているからいいんだけど、そりゃないよねとも思う。人が来たらちゃんと除けるつもりだろうから。そんなこともあって、まず、岸際から釣る。今日はやけにルアーの人ばかりで、みんな30メートルくらい投げている。ときどき思い出したように水面の何かを食べているのだが、何かは見えない。こういう時にはグリフィスナットでよかろうと、すっとプレゼンテーション。途端にヤマメが寄る。直に、ニジマスがかかる。こんなものさ。
5尾に見切られて、1尾がかかるという展開。それでも、5キャストに1尾なのだから調子がいい。曇り空も後押ししてくれる。数尾上げると、もう、浮気の虫。グリフィスナットで延々続く釣果に堪えられなくなる。
こんなこともあろうかと、ミッジアダルトでウイングがCDCの奴を投げると、これが奏功。しかし、一発で壊れる。テレストリアルなんかもつけて、それなりの渋さと、それなりの反応を試す。面白いのは、グリフィスナットで、魚がどうしようと悩んでいる感じがある。見切るというのか、未練たらたらで、6Xに下げるとすぐに食いつく。
10尾取ったところでランチ。テーブルで呑気にコンビニ弁当。こういう時間もいいなと思い、彼女を釣りに誘う。
「もうちょっとしたらね」
と言うので、まあ、その気になったらおいでと告げて、桟橋へ。またも、いろいろなフライを試す。それなりの反応などを得て、それなりに取り込みも工夫して、そろそろ何か違った釣りがしたくなった。桟橋の先、フライ専用のところは少し流れがあるので、それでもやるかと先刻の2人連れのところへ向かう。
いやあ、これは頑固なロッドだ。四方八方どこへでも飛んでいく。目の前にライズがあるが、あのロッドなら投げたくもなろう。桟橋の先端部へ入り込んだ張り出しから数メートルのところにタックルボックスが置かれていて、いかにもそこから先は入らないでねと訴えているように見える。そうではないのだろうが、遠慮して縮こまっていくらか上げていたら、向こうが気を使って桟橋の参道部に移ってくれた。
そろそろ2時間が過ぎ、大きいのをと思ったところで、グリフィスナット。案の定、きた。かなり大きい。50センチはあり、丸丸と太っている。たぶん、これはキャリアハイ。そこへ、彼女。網を持ってもらってランディングを手伝ってくれとお願いする。自分で上げればいいんだけど、こういうのもいいだろう。
それにしても、ボクは慌てなくなった。6Xで50センチオーバーだけど、全く切れる気がしない。ちょっと結節点が気になって、それまでの継ぎ足しのティペットを全部切って6Xを2メートル足したところだが、このティペット、実に10年前のもの。すこしざらざらしている(笑)それでも切れるとは思えない。丈夫なものだ。
魚はいつまでも頭を下にしているのですれ掛かりかとも疑ったが、はっきりと口にフライが見える。ゆっくり寄せると数分後彼女の網に入った。ほとんど、お歳暮の新巻鮭レベル。55センチある。彼女が怖くなって思い切り引き上げたので、桟橋に載せてしまったが、その時、どんと大きな音がするほどである。
これが何かの興味を引いたのか、彼女が少しやってみる気になったらしい。さっそく、こうやってやるんだよとプレゼンテーションするといきなりヒット。取り込み方を教える間もなかったので、引き寄せながら教える。ボクが半分釣り上げたようにして、最初の魚がかかる。すぐ次もかかって、いやあ、釣り運があるのかもしれない。ちょっと粗いキャスティングをしたので、場荒れしたように思えて桟橋の反対側に投げる。ここからは自分でやるといいよと投げ出したら、また、すぐにかかる。今度は何とか取り込めそうだが、やや大きい。40センチ中程ぐらいだろう。今度はボクがネットを出した。1尾の魚だが、彼女は魚は重いと話し、鼓動を抑えきれないようであった。
彼女がこれでいいと桟橋を離れると強い雨が落ちてきた。3時間のリミットに近く、これでフィッシュアウト。
今度はいっしょにやってみようよ。君となら、もっともっと釣りが楽しめそうだ。老後の楽しみに付け加えようじゃないか。