だめだなあ

何をやっても人の賛同や指示を得られないような気がして、気分転換にこの春仕立てたスーツを着込んだ。
だめだなあ。どうも気分が乗らない。仕事はいくらもあるが、クリエイティブになれない。
ボクは何かひとつの仕事のなかで然るべき形を作りあげることよりも変化を喜ぶ性質がある。取り立てて人と違うことをしようとは思わないのだが、目の前に現れる様々な事象や表情に限りなく興味が尽きない。それだから、今日、遠くに見えた雪をかぶった唐松岳の姿と、写真集の出た相武紗季が同じ興味のうちで語られる。
でも、風景の中に佇み、秋の穏やかなマゼンタの夕暮れに照らされている自分がそう格好悪くないと思えた。それは、迷いを抱えたまま3月の風に吹かれてローカル線の脇を歩き、頬をなぜた風に正気になったボクともそう変わっていなくて、そんなことを思い出し、相似に気付いた自分を少し可笑しいとも思えた。