頭の上からテポドンが降ってきたらあなたどうするんですか。

こういう言い方をたくさん聞いたな。すべての議論を単純に吹き飛ばし、かの国の恐怖にリアル感を与えることばとして便利な道具となっていた。
いつだったかな、よく似たことばに「なぜ人を殺してはいけないのですか」というのもあった。聞かれた文学者が全く反応できないことがむしろ馬脚を見たような気になって、その後、ことあるたびに考え込んだ。
だが、テポドンについていえば、

なぜ、アメリカが再び核爆弾を打ち込まないと言い切れるのか

と返してやりたい。自己の存在に関わることでいえば、どっちでもいっしょである。そういうものには、ある種の厭世観楽天主義で対応したい。日没5分前の釣りのようなものである。