影武者徳川家康

朝、惰眠。
たぶん、今年になって初めて。
枕元にあった隆慶一郎の本を読む。中古でない本を読むのはずいぶん久しぶりだ。
何か節約できるところとなると、案外、こんなところしかない。100円の本ばかりを買い込んでいる。
ボクの場合、本を買うという行為は読むことと一致している。本好きでもあるのだが、それ以前に、読むことが好きなのだ。読むとなると早い。味わうよりも貪る。書類でさえその傾向は強く、最初に全般的な調子をつかんで、それから細読に入る。この手の小説はどーっと読んで読みっぱなし。
推理小説はだめだ。込み入っていて、どうも性分に合わない。面倒なのである。伏線なども張ってあるが、どこまで巧妙に伏せておくのかに技術が費やされるように思えて、その一瞬届かない場所がもったいぶった印象を与える。
最近は、時代小説が多いのも、特徴かな。若い頃はどこがおもしろいのだろう、そんなものと思っていたが。
若い頃侮蔑していたもので年頃になって見直したものも少なくないのだが、今でも、クラシック音楽はだめだ。子どもの絵本に出てくるようなレベルの知識ならあるのだが、どうにもいけない。あれもどうやらもったいぶった感じがいけないのだろう。クラシックの演奏にだって凡打はあるだろうにと思うのだが、格で喝采しているように思えて仕方がない。
そういうボクだから、前田慶次郎やこの本に出てくる次郎三郎のような者に憧れる。ボク自身はきっと本多弥八郎正信のような吏員向きの人だろうから尚更だろう。己の才覚と槍一本で乱世をわたりきってしまうような果敢さは憧れである。度胸がないのだろうなあ。

影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈中〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈中〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈下〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈下〉 (新潮文庫)