小学校の引率

頼まれて小学校の集団登山の引率をお願いされた。初めての登山ということで装備や歩き方から指導しないと行けないし、最初の登山で山嫌いにしてはいけない。けっこう、難しい仕事だ。
山ですれ違う学校登山を見ていると先頭の先生が全く素人らしく、どしどし歩いていく。そんなものでもう後ろは駆け足。ペースもつかめずに必死で付いている。そのうちに体力を消耗し、足は痛いし、呼吸は乱れ、だらだら、へとへとになっている。そのうえ、先生から叱咤激励が飛ぶ。引率の仕方が悪いのに、子どもが難儀している。登山があるからとせっせと体力作りに走っている学校もあるらしいが、そもそもそのトレーニングに効果があるのかわからない。登山という特性を見極めて、どこをどのように強化するのかについていささか無知である。
かつて、山岳部のトレーニングで器械体操のようなことやフィールドアスレチックのようなこと。あるいは、重量の負荷をかけてゆっくり動くなどしたものだ。心拍数はそんなに上がらない。そのかわり、全身への負荷が大きく、敏捷性を失わない。そんなトレーニングだった。
立山を歩いていると、先生のたくましい誤ったリードのためにふらふらになった子どもに、「あなた、毎朝走らなかったでしょう」などと怒鳴りつけている。そんなことのせいにする前にあなた方の引率を振り返ってみろよと思うが、知らないのだろうなあ。
今回は、来拝山。高い山ではないが、急な上り下りでロープやはしご、岩場もある。標高が低いために暑さも半端じゃない。歩き方や隊列の組み方、ルールなどを説明して、標準80分の行程を90分ちょっとで歩く。何とか全員無事登頂し、帰還。途中でへばりそうになった子どもはなく、また、息が上がったこともない。時間に余裕があることが何よりも適切な指導であることが理解できた。
それにしても、低い山だが、なかなか厳しい。冬は足場がいいので、それほどにも感じていなかったが、こういう山でちゃんと引率指導の稽古をしてもらいたいものである。