取材の面白さ

今日は、仕事上の要請で人を訪ねて取材した。おもしろいんだ、人の話を聞くのは。話すのも好きだが、聞くのはもっと好きだ。聞き上手ではないものの、人が使う言葉に感応している自分が嫌いではない。ゆえにプロレス好きなのだろう。
帰宅すると、1冊の本と新聞が送られてきていた。名古屋の新聞だ。懇意にしている記者の相談にのった。それに関連した記事だ。文学に出てくる食を訪ねる探訪記なのだが題材は「長い道」。柏原兵三が戦時中の学童疎開を題材にした自伝的な小説である。これに触発された藤子不二雄Aが、自らの疎開時代を描いた「少年時代」を描き、それが映画になっている。
この間、ある温泉に行ったらブリしゃぶとかいう変な料理が出た。富山県の名物料理ということで、昨年だったか、その前か、キリン一番搾りのCFで使われたものが、何だか一気に地元の料理ってことで広がったものらしい。そんなの食べたことないぞ。刺身が一番うまい。案の定、湯通しすると生臭い。これなどは、名物料理風であって、地元の食ではない。
原稿で取り上げたのが、きな粉のおむすびである。これを聞いて、ボクは記者の眼力と感覚のよさにとてもうれしくなった。田んぼの仕事には欠かせないものだし、富山にはとろろ昆布のおむすびもある。いずれも、日常食としての地元料理である。こういうものが本物だ。
記事はノスタルジーを追いかけずに、淡々と時代と食を描いている。画像に出てきたむすびは少々高級な感じがしたが、それもしかたあるまい。よその土地から取材に来た人には、立派なふうをしてふるまうのも土地のやり方だ。ほいっと、お盆にそのまま載せて出されるには、しばらくの暇が必要だ。
こういうのが書きたいなあ。せっかくだから、ボクの方もおもしろいものにしよう。大抵書き終わってからいいネタが見つかる。さっそく、佐々木助七の肉声が伝わる資料を発見。あーあ、これがあればなあ。あとのまつりばかりである。