明日解禁

こちらの川は明日が解禁だが、ちょっと竿を出す機会が先になりそうだ。4月でもいいかもしれないとさえ思えている。最初に使うのは、TENRYUのロッドにしようとも思っているが、まだ礼状も出していない頂き物をとっとと使うには気が引けている。
昨日読んだ「フライの雑誌」のユスリカ特集はおもしろかった。ユスリカこそフライフィッシングの本領と思っている人は少なくないはずだ。ニンフのアウトリガーの釣りは、例えばテンカラ、例えば生き餌でも真似が出来るし、それぞれの釣法の長短もある。しかし、ユスリカにいたってはフライ以外の方法でアプローチできるとは思えないし、よしんばそれが可能だったにせよ、極めて厄介なものにならざるを得ない。凡夫が取り組めるとすれば、フライしかなかろうし、また、そこには惹かれてやまない魅力が広がっている。
ニレ池のようなポンドで釣っているとき、ボクは魚釣りをしているように感じている。川に立つときには、むしろその気持ちは半減していて、川で遊んでいる感覚が優先してしまう。克服するべき対象を喪失しているらしく、おかげで一向に釣れないし、しくじりも多い。魚が豊富にある管理釣り場では、魚とのやり取りをどんなことばで、つまり、フライで楽しもうかとなってしまう。そのため、#12でも、#14でも釣れるとなると、釣りやすさとは無関係に、#14を選択する傾向を持っているようなのだ。抑圧的に、禁欲的にやろうというわけでも、繊細な釣りが好きだというのでもない。#14くらいのものを補食していたら、自分の中でそれに合っていると感じているものをまず用いると言うアプローチで、連中が結果的に少々大きいものでも食いついてくるのだとしても、それは指示を全部聞く前に動いてしまう小学校1年生のようなもので、何でもとりあえずは飛びついてしまうような向こう側の意欲で成り立っているのであって、ボクはそう腹も減っていない奴がいいそば屋の前を通りかかって、ちょいとそばでもたぐろうと飛び込んでしまうようなインセンティブの方を好んでいる。
それだから、どっかんどっかん大きなフライに出てしまうような釣りは、面倒がないんだけれど、どうも飽きてしまう。その点、ユスリカはおもしろい。
NHKの番組で超高速カメラでいろんなものを撮影するものがあって、先日、フライフィッシングをやっていた。興味を惹かれたのは、ヤマメの捕食である。ずっと昔、nyamaさんが「ヤマメってのは食べるのが下手なんじゃなかろうか」と、繊細とも、華麗とも言われ、修練を要するヤマメ釣りに、むしろ、魚の側の能力不足を指摘し、そこを何とか克服するにはヤマメ側の努力と向上を期待するわけにもいくまいと話したことを思い出した。全くヘタクソなのである。相当に捕食に成功する確率が少ない。あいつらがライズしていても、ちゃんと食べているかどうかはわかったものじゃないなとさえ思わせる。それは、虫とても必死な訳で、当然の摂理だろうが、そうなれば、フライに出た魚の方が当然フッキング率は高い。フライマンの方に少々分があると考えても良さそうだ。
となれば、いよいよユスリカなどという、どこまで本物に近いかわからない世界で、虫っぽいリアリティで戦える場所はおもしろい。ある映画の関係者に、リアルとリアリティの違いを教えてもらった。なるほど、ボクらはリアリティにイマジネーションを付加させるのかと、自分がやってきたことをようやく分析的に俯瞰できたが、ユスリカの釣りはいよいよそのあたりを加速的に広げる。
読んだ後、何本かのフライを思いついた。ものが小さいだけに、ちょっとしたしぐさでフライのふるまいが変わってしまうのもおもしろい。そんなことを思ってフライボックスを見ると、フライの在庫数たるや、おそらくは、二八で#18以下が優勢である。大好きなミッジアダルトは#24を中心。当然、ティペットは6Xを中心。
偏った釣りだが、偏屈がやっているのだからしようがない。偏らない思想と遊びにどんな愉しみがあるというのだ。

天龍(TENRYU) ロッド フェイテス ベーシックマスター FBM 863

天龍(TENRYU) ロッド フェイテス ベーシックマスター FBM 863

天龍(TENRYU) ロッド フェイテス ベーシックマスター FBM 864

天龍(TENRYU) ロッド フェイテス ベーシックマスター FBM 864