選手権第1戦

ここでダルビッシュというのが有終だろうと思うが、やむを得ない。
日本ハムが連打を続けながらもう一押しできなかったという戦いか。
途中ジャイアンツが追い上げられるところを見ていなかったのだが、勝ち越しに成功した5回の攻撃は見事。CSセカンドステージでは、チェンの球数を増やして攻略した打線は、ここでは、初回、2回と立ち上がり好調だった武田勝の球がわずかに甘くなったところをファーストストライクを打ち込む形で1,2塁。木村の送りバントの処理を武田が焦るも、高橋が好カバーで1死2,3塁。わずか数球で絶好の場面を作ってしまった。
局面を読む打撃と言ってしまえばそれまでだが、野球は傍目で見ているほどプレーヤーはそれを感じたり、読んだりしていない。むしろ、巻き込まれていることが多く、その空気に支配され、ネガティブな方へ進んでいく。ゲームが崩れていく、あの感覚だ。こと今回の両チームはそういう形ではなく、形に入ってきてそのまま攻撃を作ってしまう。原監督のいう「胸と胸のぶつかり合い」である。おもしろい。楽天は強くなったが、まだまだ選手が局面を読み取り、作っていく力が足りないと、野村はそう言っていたのだろう。
中継は、テレビ朝日とNHKBS。CMは嫌だが、野村の解説の方にチャンネルが向かった。野村スコープも復活である。しかし、高齢の衰えは隠しようがなく、ゲーム展開の速さについて行けなくなる場面があった。本人が一番もどかしいだろう。中継からしばらく離れていたということもあるだろうから、また、今後に楽しみを残そう。
あるデータを調べていたら、長嶋2回、王2回、野村3回とあった。日本一の回数である。野村はヤクルト時代選手権は全部勝ったということなのかな。しかし、長嶋の2回のうち1回は2連敗からの日本一。東京ドームで2連敗するが、「ドームに帰ってきます」とあっさり言い放って、そのまま6戦目で決めた。本人はそんなつもりがなくても、そのことばのマジックに絡め取られる。モンキー・D・ルフィに「仲間を付ける(味方にする)能力」という表現がこの間の連載の中にあったが、なるほど、長嶋はそういうことか。