火事場泥棒

統一地方選挙はたぶんそうだろうと思うような状況で、政権与党の民主党が惨敗。菅内閣への不信感が募って、自民党原子力発電所事故への対応を巡って国会での追及姿勢を強めるという話や、倒閣運動をしている民主党内の大物などの話で、一体この国のどこに支援が必要な人々が溢れているのかという話になっている。どこまでが内閣の失策なのか、どこからが自然災害の不可抗力なのかが見えないまま、現状を憂えているだけで、新しい展望や提言のないまま声高に批判ばかりが日に日に大きくなっていく。ここぞとばかりの攻勢は、全く火事場泥棒みたいなものだろうと思うが、新聞も国民の悲しみに乗じようというのか、悲嘆の声に共感するだけで、私たちが今何に立ち向かうべきなのかを描くには至っていない。公器とは何だろうか。阪神戦で脇谷の落球まがいへの判定が勝敗を分けたと叫んだ身びいきのスポーツ紙と変わらぬ。
怒鳴った方が勝ち。大きな声で勝ち抜こうというのは、民主主義の手続きとしても杜撰で、大連立という選択をしなかった以上、この大災害の対応にどう片棒を担ぐのかを見せてもらわなければ、そちらも退場願うしかあるまい。