野次不規則発言

首相の所信表明をラジオで聞くと、とにかく聞くに耐えなかった。野次なのか何なのか、罵声が背後に聞こえて、首相も気になるのか奇妙にことばを必要以上に強めている。鬱陶しいなあと思っていたら、翌日の朝日新聞のコラムで「小学生の放課後」と書かれていた。それも違う。あんなに怒号が飛び交うことはない。一方的に罵っているのだから、これはもう抑止のしようがない。あれが、国権の最高機関で、民主主義の最も重要な手続きによって選ばれた議員による、やはり、民主主義の根幹とも言える議会の、それも議論ではなく所信表明の聞き方である。
誰が発言していたのか知らないし、どの党の人かも知らない。それでも、あれはないだろう。政治家がそこまで鈍感になれるほど、有権者は政治家を甘やかしてしまたのだろうか。
通商産業大臣の一連の発信は、不規則発言なのか、野次なのかわからないレベルのことばが、報道で暴走したものらしい。「死の町」はダメで、ゴーストタウンでは問題にならないというのも、この報道に何かのバイアスがかかっている現れかもしれない。放射能えんがちょ事件もあったのか、なかったのか。もし、それらしい動作がなかったのなら少なくとも何かの気配を捉えてかきたてるスポーツ専門紙以下の振る舞いだ。一種の報道テロでさえある。
目に見えるものをわかりにくくして、目に見えないものを作為的にある方向付けをする。安っぽい推理小説ですらやらない手が横行するということは、本当は見せたくないものがあるように疑ってしまうじゃないか。三味線で空振りしたのか、全然合わなかったかは、本人にしかわからないが、本人は案外引きずっている。