南京千両

近くに行ったのにあんまり食べられなかった。
今日はどうしても行っておきたかった。
20年以上前、ボクはまだ学生。南京千両は、時々できる大きな贅沢のひとつだった。もう仕事をしていた彼女と、この店のカウンターと小さなテーブルで最後のお汁までを飲み干すのが楽しみだった。「神田川」って歌があったけど、そんな感じがしていた。
その頃、まだ娘さんは小学生だった。家族で支える、そんな雰囲気のお店。
娘さんは今年30歳だそうだ。きれいな笑顔のよい素敵なマダムになっている。
今日は、転勤のことを告げて、そして、ありがとうと言った。
思えば、この3年は、20年前の足跡を辿る旅でもあったか。
西村カメラさんもそうだった。
また、こうしてこうやって、こんな場所でこんなことを考えるのだろうか。