梅原猛

歴史学者の妥当性はときどきテツガクを欠いてしまう。梅原猛の卓見は、相であるに違いないと透徹した考えのなかから、疑いようのない地平を見出す力である。少し古い本なのだが、その後のいくつかの発見が梅原猛の目が正しかったと位置づけている。

怨霊と縄文 (徳間文庫)

怨霊と縄文 (徳間文庫)

古いと思ったら、その通り。1985年。
最初に、自分のテツガク遍歴があってという体裁も独特で、それはまた、梅原猛の考え方の背景をよく、そして、簡潔でわかりやすく示している。
古事記」について、もう1回考えさせられた。
藤原不比等稗田阿礼として、アマテラスを持統におき、その孫である文武をニニギすなわち天孫に見立てる構造は、万が一、憶測にしてもよくわかる。為政者がその権威を高めるために用いるものが神話なのだから。
少し古本屋で探してみよう。