アメリカ侵攻

この虫の名前を初めて聞いたのは、小学校の頃、折しも70年安保。
アメリカシロヒトリに侵攻された校庭の桜を守るため、全員校舎に閉じこめて、強烈な薬剤を散布した。それは、例の国の論理に支配された小さな先兵を皆殺しにしていく容赦なく、呵責のない動きで、のちに風の谷に侵入した虫を焼き殺していく人々の姿に重なった。
うちの隣の木々は完全に食い尽くされ、今度はこちらだ。水際でくい止めていたが、いっそ食害を受ける樹木を剪定するという先手を打ってみた。
不思議だが、レモンバウムは食べる。スペアミントは食べない。タイムは食べる。セージは食べない。香りの強いものは残して、そうでないものをいっせいに伐採した。
ついでに伸びすぎたクスノキを剪定。今年は下が糞で真っ黒になるくらいにたくさんのアオスジアゲハがいた。ちょうど羽化のときに枝を落としたらしく、片羽を失って飛べないアゲハが可哀想に、もがいていた。
ボクに箸で潰される毛虫だって可哀想なのだが、小さい頃の、そして、ナウシカで見た外敵のイメージが残っていて、完全殲滅という意志が働く。
だから、教育はなめちゃいけない。
花壇の土が弱っている。牛糞や堆肥で少し力を蓄えさせることにしよう。