教育基本法改正ポイント

実は、項目の追加が今回の大きな改正ポイント。文言の細部は例によって解釈でどうにでもなる。

  1. 教育の方針のあとに「生涯学習の理念」を追加。このことで、教育の施策は生涯学習の理念をもとに展開されることが宣言される。学校教育も生涯学習のある一時期、一部分の教育形態に過ぎないと考えるのはすでに常識となっているのだが、ようやく基本法でおさえることができた。朝日新聞は主な改正点とした表にこれを掲載していない。学校教育だけで戦っている朝日新聞らしい。ちなみに昨日の朝刊では、国会前で涙を流してたたずむ若い女性を社会面に大きく掲載している。彼女が何と戦ってきたのかは記事からは読みとれなかった。
  2. 学校教育の項目のあとに、「大学」「私立学校」「教員」「家庭教育」「幼児期の教育」「学校、家庭及び地域住民等の連携協力」を追加。これらは、教育をめぐる現状の追認であるばかりか、これまでのいくつかの法律、省令などを上位法と考えられている*1教育基本法でも明記しておいたに過ぎない。これはこれで60年のズレを埋めるための措置として適切だと思う。
  3. 教育行政の項目自体がずいぶんと拡大している。小沢民主党代表が狂句の責任の所在を明確にするという議論をふっかけたが、政府は全くのスルー。ここまでポリティックスで教育を囲むのならば、それなりの責任を有することは間違いない。その覚悟をもっているということなのだが、教育基本法はもともと地方自治的な考え方に基づいていると言われ、その点がさらに強調されることを望んでいたボクとしては食い足りない。地方教育委員会、例えば、義務教育においては市区町村教育委員会がもっと大きな力を持つべきである。それは、地域づくりの観点からも必須であると考える。高校が現在おかれた立場を勘案して、準義務教育的な教育機関ととらえ、市区町村内においては、その生徒数に相当する定員を用意する必要があると思っている。教育委員会機能を充足させるために、独自の財源を確保して教育条件の整備に努めるべきである。
  4. 教育行政の内容増に合わせて、「教育振興基本計画」の策定を行う項目が追加されている。他の法律でもこうした扱いになっているため、驚くには当たらないが、この計画を策定するときが地域にとっての教育を考え、住民が参加していく重要な契機となる。これをどう扱うかで、市区町村教育委員会の力が試される。

こんなところかな。
ことばの細部については、もう少し読み込む必要あり。

*1:本来、法律同士であれば後から出た法律が優先する。しかし、教育基本法の場合には、判例においても基本原則として機能するという判断がなされている。(らしい)