泡盛古酒と芋焼酎

偶に、泡盛の古酒を買う。古酒はよく知られているようにただ寝かせているわけではない。新しい酒を注ぎながら、その年月分を育てていく。ボクはこういうのが気に入っている。仕込んだ素質だけで素性が決まるのではなく、いわば後天的に素材を磨いていく。だから、7年なら7年の間の育ちを味わっているわけで。
芋焼酎には古酒ってのはあまり見かけないものだ。どうしてなんだろう。最近はどうしても品不足感があるせいかもしれない。
ところで、戦後食糧不足解消のためサツマイモの栽培が奨励されたなんていう飢饉の青木昆陽めいた噂はだれもが耳にしたことがある。ところが、これが実は食料じゃなかったという話を聞いた。芋焼酎にしたのかというと、それも違う。だけど、ちょっとだけ近いのだ。
今流行のバイオエタノールなのである。日本は元々資源を求めて戦争を仕掛けているくらいだから兵器を動かす燃料にも事欠いた。それで、サツマイモからエタノールを生産しようとしていたらしいのだ。ところが、戦争が終わってしまったのでそれを食料に回しただけで、食糧不足で仕方なくサツマイモを植えたわけではなかったようなのだ。偶然なのだろうが、それが戦後飢饉を救う。
最近は、焼酎用の芋が不足しているとかいう。泡盛だって、作った米を使わずにタイ米を使って作っている。考えてみると、ずっと昔は循環型社会で、それはまた同時にグローバリゼーションの現れでもあって、今頃おたおたとやっているのが変なのだろう。
このところ、方々でビオトープの看板を見かけるのだが、そこに人影を見ることは少ない。無垢の自然ではなく、関与できるバーチャルな自然を試みて、そのままならぬことに学べばいいのだが。
泡盛でも、芋焼酎でも走るクルマなんてのは楽しそうだが、ずいぶん勿体ないような気もする。食べものを食べずにクルマを走らせるんだから。満腹にはならないしね。