電脳なをさん

週刊アスキーはもう「なをさん」と「カオス」を立ち読みするだけになっていた季節があった。好きである、なをさん。もともと雑学の徒として在るだけにこうしたパロディもの、本歌取りはリスペクトと諧謔を巧みに交錯させるそこそこ高度な教養だと思っている。このところの芸人のネタに品性がないのは、リスペクトに不足しているからに違いないが、まあ、それはそれでもいいか。柳原加奈子のネタに、パロディ元へのリスペクトがあるかどうかが疑わしく、また、十分におもしろいからで、彼女はタモリ以来の高度な芸を展開していると思っているが、なをさんもまた、大変にレベルの高いものを見せつけてくれている。
昼飯を買いにローソンに行くのが習慣になっているが、毎日500円ほどの弁当はきつい。それでできるだけ物を食わぬようにしているが、ふと週刊アスキーの増刊を見つけた。なをさんの名作からジョブスだけを抜き出した特集である。そもそもそういう特集を組むこと自体がすばらしい。昔の水玉蛍之丞さんの名作を思い出す。「ねじ式」をアップルネタに加工したものだったが、なをさんはその対象をどんどん広げ、「まいっちんぐマチコ先生」(スペル不明)などにまで展開している。
やっぱり、人を茶化すのはおもしろいなあ。それが高慢なマイノリティだといよいよおもしろいが、こちらは自虐的な感じさえ与えて、それはそれでまたよい。ウォズニアックと小津安二郎を重ねたのも秀逸である。ちょっとした基礎教養がないと読めないのも、気持ちいい。イチロー小橋建太比較文化論をやるくらいに超気持ちいい。
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なんだかあんまり販売されていないぞ、なをさん。絶版状態か。とすると、この雑誌がいよいよ貴重である。