殺人犯と哲学

ある殺人を犯した人が、永井均の本に感化されたようなことを話しているらしい。
テレビではその影響を与えた部分を切り取って紹介して、こういうことを書く奴が犯罪者を増長させているのだとでもいうニュアンス。ミスリードもいいところなのだが、勝手に読んでしまった奴の勝ち。どんな抗弁も通用しなくなる。報道を見た人がその本をしっかりと読もうなんて思わないから。一種の言論弾圧である。編集者も読んでいないかも知れない。

子どものための哲学対話

子どものための哲学対話

永井均ほど独自の哲学を展開できる人はいない。哲学とは学の体系のように思われているが、実は態度である。徹底して問いかけ考えようとする態度のことである。また、この本で「子ども」と呼ばれているのは、未成年のことではなく、子どものように率直な問いかけのできる人の意味で使われている。
被告の父が高校生の頃、買って与えたそうである。何かを感じていたんだね。残念ながら、彼の心の解放、答えを求めることではなく、問いかけ続けることに生き方の価値を見いだす方には向かわなかったらしい。