マンガは哲学する
マンガを読んでいたらバカになると、そんなわけのわからないことを今ドキいう
人もいないと思っていたけれど、学校の先生の中には「学習マンガならいい」とおっしゃる方もあると聞いた。多くの学習マンガのマンガとしての質の低さは噴飯ものだけどマンガにもちゃんと批評が必要だと、そうやって価値を高めた上でしっかりと対応しなくてはいけないと、そんなことあたり前だと思っているだけに、学校がまだそういう対応かと驚いてしまう。
この本も、マンガの序列的な相対価値が低いことをむしろ逆手に取った雰囲気もあるので警戒していたけれど、さすがに永井均はそんなこと微塵も考えさせず、徹底して問い続けている。
そもそも、って書き出しもおかしいけれど、そもそも哲学とはそういう学の体系があるわけではなく、問い続ける態度をを指しているわけで、思想というのは哲学によって得られた知見のことだろうと思っている。だから、多くの哲学者の思想などには全く疎いけれども自分自身が問い続けられる限りテツガクの人でいられると思っている。それは、永井均に教えられた態度だ。
- 作者: 永井均
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/04/16
- メディア: 文庫
- 購入: 8人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
引用されているマンガは読みなじみのあるもので、ボクにはとても懐かしい。そして、当時感じたいくつかの違和感が、いわば哲学的な感度によって得られたものだと気付かされた。
諸星大二郎をボクらはよりいっそう評価しなくてはなるまい。最近流行の陳腐な空想劇をSFは数十年前に提示して、その超克に苦心しているのだ。
教室の本棚に、「伝染るんです」を並べた小学校の先生がいたそうだ。先生に快哉。
*1:エコだのリサイクルだのが好きな人々が未だに古本、中古ほんとしか言わないのはなぜだろう