今朝の朝日新聞天声人語

今朝の天声人語で、上越の地滑りが取り上げられていた。
27年前の2月に起きた市振玉の木地区での地滑りが関連して記述されていた。
玉の木は、新潟県最西端の集落で、隣接する境川を超えると、そこは越中である。集落を分断する土砂が県境の難しさもあって救出に滞りもあったと聞く。
山が集落に覆いかぶさるような恐怖はいかほどかと思う。この土砂崩れには、融雪ばかりでなく、北陸自動車のトンネル工事で水脈が変わったという話も聞いたことがある。
ずっと昔からここで街道は山に向かい、県境の山々を人々は越えて行った。やがて、波立つ海を隙を見て走り込むように進む道も使われて、親不知の名はその中で不幸にも裂けてしまった命から取られたものという。飛騨山脈日本海になだれ込むようにせり出すこの場所は古くからの難所。そこを、私たちは、トンネルを穿ちいとも簡単に通り抜けてしまう。時間や多くの労苦を感じることは少ない。
そうしたものの中に、僕らが微妙な自然のバランスを見出してしまい、やがてくる、大きな破綻のきっかけを作っているのかもしれない兆しがあるのかも知れない。
少なくとも、ひとつひとつの営為には、多くの責任と覚悟があることを自覚しておくだけでも、何か未来を支えられるのではないかと、僕は信じてみようと思っている。