白とろろと黒とろろ

先週金沢東山で昆布のことを教えてもらった。そのメモ。
黒とろろと白とろろの違いが、不覚にも昆布の種類の違いだと思っていた。富山は羅臼昆布、金沢は利尻昆布だとは知っていたので、そういうあたりが理由だと考えていた。
東山のお店の人は、そのこともふまえたのち、うちのおぼろはと話し出した。
とろろはかんなのような刃物で削りながら作っていくのだが、おぼろは昆布を粉砕する。昆布を削ると、表面と芯に近いところでは味も食感も違う。実は、白とろろは、削った昆布がほぼ芯だけになったのを粉砕して作るらしいのだ。一方、黒とろろは削らないままの昆布を全部丸ごと粉砕するらしい。白とろろの方が手間がかかるが、部位ごとにそれぞれを生かした昆布を削り出すことができるのだ。
これを聞いて、すぐにソバを思い出した。ソバの実を挽くときに順番に出てくる粉をそれぞれの性格で呼んでいるのだが、一番粉を中心にしたものが更科。ソバの実は不思議なもので石臼で破壊されると中心部から出てくるのだ。いわば、白とろろ。一方、田舎そばとも呼ばれている黒っぽいものは、殻だけを抜いた甘皮付きのソバの実を挽いた「丸抜き挽きぐるみ」である。これが黒とろろ。
食材、それも、素材をそのまま使うようなものは、根本の考え方処理の仕方に共通点があるものだと感じる。これだから、旅ではいろんなものを見てこないといけない。