鶴見俊輔の対談

朝日新聞の朝刊にあった鶴見俊輔の対談はおもしろかった。
いくつかのことばが出てきたので、メモしておこう。
アンラーン:鶴見は「まなびほぐす」と訳している。なるほど、この社会は学ぶことのみに執心している。学力論争などは、学ぶことの内実を問わずに、蓄積の表現を求めている。
「プリンキピア・マテマティカ」を著した2人。
ラッセルは「疲れて家に帰ったとき、自分が言ったことは全部間違いだと思う瞬間がある」と言ったそうだ。鶴見自身が直接耳にしている。
ホワイトヘッドは、「精密であることはフェイクだ」と講演で言ったのを聞いたそうだ。
草野心平のことば。「死んだら死んだで生きてゆくのだ」「第百階級」にある「ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉」の一節。
ボクはこれを読みながら「逸脱は未来の保険」であると思った。一方的に決めつけた<ダメ教師>の排除などという政策を推進する政府に、未来を託す道理はない。授業は下手くそでも、事務能力が低くても、ボクに寄り添ってくれた幾人かの先生は、方程式も、難しい漢字も押しつけなかったけれど、空の青さと哀しさを感じるボクのそばにいてくれた。だから、今、生きていられる。それが、先生の役割だ。ダメ教師かもしれないが、先生である可能性を否定できない。教師は機能だけど、先生は人格なんだ。政治にはわからないのだろうか。いや、逆だ。行政にはそうした論理が入り込む隙間はないが、政治にはある。気付かないのは政治の貧困である。