3.14完全復活

文部科学省「学習指導要領」の案が公表された。
目玉は、授業時数の1割増しなのだが、それは学習指導要領には書いてない。学習指導要領は内容の基準を示すだけなので、1割り増しに対応したものにしたってことか。「考える力」なんて、もう使い古したことばでやっているけれど、学ぶことはすなわちそういうことでわざわざ言われなくてはならないものでもない。
さて、やっぱり、反応が出たのが3.14。円周率を場合によっては「3」として取り扱ってもよいという現行「学習指導要領」の極めて数学的な措置が不評を買ったせいなのか、「3.14を用いる」となった。これで、「そうだ、そうだ、円周率は3.14なのだ」という知識人が納得あそばそう。よござんした。でも、円周率は、3.14でも3でもなく、「直径と円周の比の値」なので3.14にさえ曖昧さが残っているとちゃんと学校では教えるんだよ。多くの人が、こと教育に関しては、知事のように「机上の空論」をふりかざしていることが多いけれどね。
これが、歴史の内容で、例えば最近鎌倉幕府の成立と征夷大将軍の任に就いたことが必ずしも同じ意味ではないことなどが言われて、1192年鎌倉幕府といういい国伝説が言い得ないかもしれないという話になっても、実はさして影響はない。じゃあ、テストでどう書けばいいのかと問われれば、さあ、である。そういう議論のあるものを正面切ってだそうというからには何らかの配慮や意図があるはずである。心配するまでもない。それに、年号が歴史ではなく、歴史とは流れである。年号は手がかりにすぎない。関ヶ原の合戦は、1600年ではなく、慶長5年9月15日のことであるし、その戦いが天下分け目であるとどの程度認識されていたか。いや、認識していたものが覇権を制したとでもいうべきか。そういうのと円周率は違うのだ。所詮、些末である。
気を付けたいのは、道徳の教材作りなどという言い方をしていた。道徳教育とは何か、道徳の時間と道徳教育の違いをどこまで報道関係者は理解しているのだろう。