シーサイドバレー最終日

朝からお天気がいいので、シーサイドバレーへ。
どうも今季最終日らしい。雪もたっぷりあるのに、世間ではスキーなんて3月の声で終わってしまっているんだろうけれど、もったいない話だ。先日の雪で、コンディションは最高。ゲレンデ脇にも、非圧雪部分にも30センチくらいの新雪
足下がいいので、お母さんが子供達を連れてきているのがよき目立つ。そりゲレンデにも親子連れ。いい陽気なのだから、こういうときにスキーを楽しめば、みんなもっともっとスキー好きになれるのに。誰よりも速いとか上手いとか、誰かに勝ったではなく、スキーそのものが面白い。
先日、FISワールドカップ終戦のシュラドミングの中継の中で、福島にやってきて子供たちを励ました元ワールドカップレーサーの様子が流されていた。そのレーサーが日本のスキーのことをこう話した。記憶による概略をお許し願いたい。

ぜひ、福島に来たかった。
日本には素晴らしい環境と、よい指導者、才能のある子供たち、恵まれた練習場所など、子どもたちが力を伸ばす条件が揃っている。
しかし、日本人はまだ、表彰台の真ん中に立ったことがない。
もっと、いろいろなスキーの楽しみ方、山でスキーをするということの楽しさを知って、スキーを好きになって欲しい。

スキー指導者の端くれだったこともある僕にずーんと響いた。
山を歩き、斜面を滑る。そういう単純なスキーのプリミティブなおもしろさを知らずに、レーサーやデモンストレーターになっていく人も少なくないのだろう。一方で、山スキーはずいぶん盛んになっているし、自然の状態の山を楽しみたい人も増えている。だが、そういう場所で子供を見かけることは少ない。僕らが子供の頃に楽しんだ裏山遊びに興じるのは、そのまま大人になった連中だけだ。
しかし、スキーはその裏山から始まった。
そうだ、インゲマル・ステンマルクが自分が育った村の子供達とスキーをする企画があった。そのとき、ステンマルクは、クロスカントリースキーで村はずれの山に、子供たちを連れて行った。きっと、ヨーロッパのスキーヤーの原体験には、そんなものがあるのだろう。だから、彼らはスキー場を「ゲレンデ」(練習場)と呼んで憚らない。日本の才能あるスキーヤーの多くがゲレンデの中だけで君臨するのは、どこかおかしな感じが、スキーのふるさとの連中には、拭えないのだろう。
今日のスキーには、板を2本持参。
1本は、モロトのドロミテという195センチの細板。トップでも80ミリをちょっと下回るはずだ。*1シュラドミングでのキューシュのクラシックスタイルに刺激されたことと、何かそこから始めないとという思いが交錯した。ゲレンデで遊んでいるっていうのも後ろめたいが。
もう1本は、ちょっと古くなったがK2のドーンパトロール。女子向きの、当時のファット板。165センチと相当に短い。僕のプラブーツはそれほど激しいものではなく、最近の板の重さに耐えられない。浮力とラディウスのバランスでこういう選択をしてみた。
ゲレンデは最高の状態。今シーズンで一番滑りやすい。しかし、雪は少し滞り、ワックスがうまく合わない。レンタルでスクレーパーを借りて削り取り調整。細板に乗ると、自分の技術をチェックできる。滑り始めはシュプールもよく残っていて、スキーらしいきれいな弧に、何だかとてもうれしく、ニコニコしていた。カービングも好きだけど、十分にして最小のズレで作られる弧は、深呼吸のあとみたいで、自分の気持ちまで落ち着く。
2時間ほど滑るとずいぶん安定してきた。30周年記念のおしるこのふるまいをいただき、お昼前に、板を取り換える。ゲレンデの脇の非圧雪場所で、これからのゲレンデ外のシーズンの練習だ。
雪は重く湿っているため、ボードの人もほとんど回し込まずに滑っている様子。どうだろうと、不安を募らせて、入ってみると、7tmがちゃんとはまっていなかったようで板が外れる。新雪でいきなり板の装着。汗が噴き出す。高曇りだが時々日がさし気温は高い。
しっかりと装着して緩い場所を走ってみると、これがなかなか浮上するのだ。女子向けの板という選択は間違っていないようだ。今ならロッカーでいいんだろうけれど。テレマークポジションを入れ替えるとけっこう進む。この緩斜面で滑れるなら、そこらも遊べそうだ。
人が少ないので、ノートラックが少しずつ残っていて、それを拾い出すように滑ってみた。時々、残雪の多さもあいまってリフトに接近する。そんな滑り方したことがないので叱られるんじゃないかとどきどきした。
スキーはおもしろいなあ。マテリアルという楽しみがある。道具立ての違いが遊び方の、おもしろいという感じ方の違いになって現れてくる。
今日で終わりというゲレンデに、深々と頭を下げて、ゲレンデを辞す。駐車場では、一度、スキーを日光で乾かす時間があった。春スキーは心が穏やかになっていいなあ。出がけに、妻が、「スキーに行く元気があるんだ」とからかってくれたが、違うよ。スキーに行くから元気なんだ、僕は。

*1:ネットで調べると、71ミリだった。そんなに細いんだな。検索すると、自分のサイトとブログが出てくる。もしかすると、なかなか稀有なモロトユーザかもしれない。3本かな、それでも。tuaも何本か。